D三:簡単に自己紹介をお願いします。差し支えなければ住んでるところや、お仕事なども。
竹永省吾(以下T):竹永省吾と申します。福岡県大牟田市に住んでいます。
久留米市の老人ホームで管理者をしていましたが、3月で退職します。
D三:言葉では説明しにくいと思いますが、作っているのはどのような作品を作っているのでしょうか?
T:写真をスチレンボードに貼って立体にした作品を作っています。
最近はコーヒーを焙煎するときに出るチャフも素材にしています。
D三:最近起こった面白いこと、発見があれば教えてください。
T:コーヒーの手鍋焙煎を始めたら香りの良さに驚いてハマッてしまいました。
淹れたてのアツアツのときの味より少し冷めてからの味が美味しいです。
D三:あなたが衝撃を受けた表現に触れた経験を教えてください。
T:高校2年生の頃にPIONEER CDJ-50を買ってもらって初めて聴いたCDの一時停止音に物凄い衝撃を受けました。その後、20歳頃にかっぱさんのライブを体験したことで表現としての音楽は自由だと知って一時停止音を使った演奏を始めました。一時停止音で演奏する感覚は自分の写真にも通じていると思います。
D三:1日の中で大切にしているルーティンはありますか?
T:自分で焼いたコーヒーを飲むこと。宮台真司のYouTubeを観ること。
D三:作品の中で重要な要素はなんでしょうか?またどのように作っているのでしょうか?
T:カメラを持って自分の足で歩ける範囲の中でいろんな角度や時間で変わる画を探しているので、作品もいろんな角度から見て楽しめればと思います。
特に見てもらいたい写真を選んでそれを中心にしてどんな凹凸が心地良いか考えて展開図を作ります。
展開図の形にスチレンボードを切ってそこにもいろんな写真を直感で選んで貼り、スチレンボードの裏に切り込みを入れてグルーガンや接着剤で山折り谷折りを固定して立体に組み立てます。
D三:どのようなきっかけで表現活動を始めましたか?
T:大牟田ふじという会場で音楽イベントを開催していましたが、コロナ禍になって開催が難しくなり、感染症の流行時でも密集しない形で表現を発表できて、それを聴取するに映像収録して配信する方法は妥当だと思たので給付金でカメラを買いました。
カメラの操作に慣れる為、緊急事態宣言下の閑散とした街を歩き回っていろんな画を探して撮っていたらどんどん写真という表現の楽しさに没頭しました。撮れた写真を展示したいと思いましたが、一般的な額装には違和感があったので、パネルに写真を貼って立体にしてそのまま展示する方法を考えました。
D三:コロナ禍ではどのような活動をされたのでしょうか?また、今回のコロナで禍発見したことは何ですか?
T:これまでずっと電子音楽を演奏する活動をしていますが、コロナ禍初期にライブハウスは感染リスクが高いとされたことで演奏機会がほとんど無くなってしまいました。そんな中で写真/制作/焚き火/コーヒーの手鍋焙煎を嗜むようになり、自己表現の幅が拡がりました。
また、社会や政治、人類の歴史、パンデミックや戦争についても関心を持つようになり、これからの人生をどう生きるかを考えています。
D三:地元ではどのような活動をしているのですか?
T:昨年やっと思い描いていた、ライブを映像収録/録音した動画を公開する企画が出来ました。
また、少しずつですが、大牟田ふじでバンド練習に使ってもらったりしています。
そして今年2月からこれまで通りのイベントがやっと再開できました。
D三:地元で活動することのメリットとデメリットで思いつくものがあれば教えてください。
T:地元に音楽やアートのシーンがあったら、市外県外海外から訪れるアーティストの受け皿が出来て表現の交流が身近になれば、地元から面白いアーティストが出てくるようになると思いますし、それは自分にとっても凄く刺激になることなので、希望を抱いて自分に出来ることを続けます。
音楽やアートのシーンは表現したい人と表現を観たい人、それを支援する裏方と場所があれば必然的に発生/発展すると思ってますが、それが実感できないのは社会の影響もあるんだと思います。
D三:様々な人に聞いてほしい、見てほしいという思いがあると思いますが、特にどのような人に向いていると思われますか?
T:音楽やアートシーンには利己的な思惑や派閥みたいな関係性が持ち込まれないことが重要だと思っていましたが、最近はその考えも正しくない気がしています。派閥とか利己的とかを考えるよりも、純粋に面白いとか面白くないとか個々の主観でコミュニケーションが出来て、かつ包括的な包容力があれば地域性に結び付くんだろうなと思います。
たまにプロモーションが悪いとかイベントを知らなかったとか言われますが、アンテナが弱い人に届くような強い発信力が無いと悲観的にはなれないので、どんなきっかけであれ、情報を見てくれて観たい聴きたいと思って会場に足を運んでくれたらそれで良いと思ってますし、その後もいろんなことに興味を持ってくれたら刺激になります。
D三:ウェブで聴いたり見たり出来るお勧めの作品はありますか?
T:exonemo、Sightings、Dancer Lico (Kehua Li ,李可华)、Kid Koala
D三:地元でお気に入りの場所やお店、お勧めのアーティストや人物を教えてください。(その理由も簡単に)
T:江上茂雄さんと高田青治さんの絵が好きです。
大牟田に住みながら表現に没頭された生き方に勇気をもらっています。
ほとんどの時間を大牟田ふじで過ごしています。
お薦めのお店
焼き鳥元禄(高田渡さんもお気に入りだった)、博多屋(陶芸家の福田るいさんのお店)、井口酒店(老舗の角打ち)、in the past(いろんな展示を企画している)、cafe nei(照り焼きライス)、taramu(いろんな企画が楽しめる本屋さん)、焼鳥二番(”つなぎ”という焼き鳥)、焼肉いで(味噌ダレ)、お好み焼きだるま(もんじゃ、おこそば、豚玉うどん麺)、お好み焼き田なか(自家製のピリ辛ソース)、銀嶺(大牟田ラーメン)、大力茶屋(カツカレーうどん)、原田うどん(かも南蛮うどんと天むす)、nido(コース料理)、toiro(スパイス料理のコース)
D三:休日はどのように過ごしていますか?
T:子供と遊んだり、ライブイベントで演奏したり、展覧会やライブを観に行ったり、散歩して写真を撮ったり、録音をミックスしたり、映像を編集したり、演奏の音作りしたり、イベントの準備したり、制作したり、コーヒーのハンドピックや焙煎したりしてます。
D三:今後の予定やスケジュール、またこのインタビューを読んでいる人へのメッセージをお願いします。
T:4月下旬にアラタバで展示をさせていただく予定です。いろんな方に観てもらえると嬉しいです。
コーヒーの素材(出涸らし、チャフ、フィルター)を額装にした写真作品を制作しようと思ってます。
大牟田ふじのホームページやyoutubeも観てみて下さい!
昨年企画した映像収録
https://youtu.be/qRz6FvY0ZtU
竹永 省吾/Shogo Takenaga
1978 年 福岡生まれ
2001 年から CDJ(DJ 用 CD プレーヤー ) を使用した独自の演 奏によるライブ活動を開始する。
2017 年、アジアンミーティングフェスティバルの福岡公演に出演。
2019 年、ベトナム/ハノイで開催された Dao Xuan Festival に出演。自身の演奏活動や大牟田ふじ主催により、国内外のアーティストと交流を深めている。
2020 年、写真を撮り始める。2021 年、写真パネルの立体作品を制作し、熊本 tukimi にて初個展「PAUSE」を開催。